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『わたしの黒い騎士』 リン・カーランド
13世紀イングランド。父の城を一歩も出たことのないジリアンが嫁ぐことになったのは、<黒い竜><イングランドの禍(わざわい)>とあだ名される恐ろしい騎士クリストファー。しかも、彼には秘密があった。じつは盲目であるという秘密が……。そのことを、腹心たち以外には誰にも知られまいとするクリストファーにとって、亡き親友との約束でいやいやながら結婚したジリアンは疎ましく、ジリアンにもクリストファーの行動は不可解で恐ろしいことばかり。しかし、ふとしたきっかけでふたりは互いの心のうちに秘めた優しさと強さに気づいていく……。世間知らずで無垢な乙女と、秘密を抱える剣士の恋は、せつなく、心ふるわせる。リタ賞受賞作家リン・カーランド、日本初登場!

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旦 紀子

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大好きなロマンス小説の一つです。

娘を鞭や拳骨でぶつことを何とも思わない父親。その仕打ちに耐え続けるジリアンですが、ある日、恐ろしい「ブラックモアのドラゴン」のところに嫁ぐことに!

「ブラックモアのドラゴン」クリストファーは塔の部屋で夜な夜な黒魔術に手を染め、頭からは悪魔の角が生えてくる・・と言われてます。父の居城から一歩も外へ出たことのない世間知らずなジリアンはクリストファーが本当に「ブラックモアのドラゴン」だと信じ頭から角が生えないか確認するくらい純真です。

が、実はクリストファーは以前卑怯な不意打ちで大怪我を負い、今では盲目で心に傷を持っています。そんなクリストファーに接するうち、ジリアンはドラゴンでも女性を鞭打ったり殴ったりしない、と知ると、そっと城の隅においてほしい、鞭打ちされない日々が欲しい、と願いますが・・・そんなジリアンの儚い夢を知らないクリストファーは彼女も狡猾な女だ、と強く拒絶します。

この辺りから一気に二人がお互いにかけがえのない存在になっていきますが、その過程が見事!
ジリアンは心も体も父親による暴力でひどく傷ついていますが、純真でまっすぐで、可愛らしい女性です。その純真さに触れていくうちにクリストファーも庇護欲を掻き立てられますが、ジリアンの傷の深さに気づいたクリストファーは「信頼」が欲しい、とジリアンの信頼を得るまでじっと待ち続けます。

クリストファーの信頼に応え、自信を持ち、花開いていくジリアンの様子が本当に可愛らしくて。

また、本筋とはちょっと違いますが、暴力的で残酷だ、と評判のコリンが、ジリアンが「勇気と美しさ」が欲しいと、魔女からもらってきた薬を「自分にも必要だから」と(毒見のため)飲み始めるものの・・・ジリアンに「あまり(外見に)変化はない」と言われるとちょっとしょんぼりしてしまうお人よし。
従者のジェイソンはおびえきっているジリアンを一生懸命外に連れ出そうと何かと世話をやく心優しい少年。

本筋も見事ですが脇役も楽しく、また、ヒロインが花開いていくだけで終わらないところが本当に読み応え満点!クリストファーの男としての意地とプライドが傷つき、ジリアンの心の傷の克服、そして二人がそれを乗り越えた先に本当に信頼しあっていく姿までが・・・詳しく書きたいけど、それよりも読んで欲しい!じゃないと私のつたない文章では伝えきれそうにありません。^^;

この作品に出会わなければロマンス小説は飽きていたかも知れない、というくらい、私には楽しく心に残る一作です。
 

テーマ:ロマンス - ジャンル:本・雑誌